蔵本モデルの概要
N 体の振動子からなる蔵本モデルは次の微分方程式で表される。
\theta_i, \omega_i は i 番目の振動子の位相と自然振動数、K は結合強度を意味する。
自然振動数 \omega_i は確率密度関数 g(\omega) に従う。 今回のシミュレーションでは、コーシー分布 g(\omega; \omega_0, \gamma) を考える。 コーシー分布の確率密度関数は、
で記述される。
次に秩序変数 z を定義する。
r(t) の大きさを見ることで、振動子が同期しているかどうかが分かる。 r(t) が 1 に近いほど同期しており、0 に近いほど同期していない事を表している。
秩序変数を使って、(1) 式を次のように書き直すことができる。
この導出は、方程式
の虚部だけ考えると、
が得られるので、これを (1) 式に代入すれば良い。
g(\omega) がコーシー分布のときに、N\rightarrow \infty の r(t) の値は解析的に求まることが知られている。 結果だけ以下に書いておく。
数値シミュレーション
常微分方程式の数値解法の一つにオイラー法がある。 (1) 式に前進オイラー法を適用すると、
が得られる。 \theta_i^t は時刻 t における i 番目の振動子の位相、\delta t は時間幅である。これを愚直に実装すると、1ステップあたりの計算量は O(N^2) になる。
(3) 式に前進オイラー法を適用すると、
が得られる。この場合、1ステップあたりの計算量は O(N) になる。
参考
- 米田亮介, "蔵本モデルにおける臨界指数" (2020)
- 中尾 裕也, "結合位相振動子系の安定性と同期現象" (2016)
- S. H. Strogatz, "From Kuramoto to Crawford: exploring the onset of synchronization in populations of coupled oscillators", Physica 143D, 1 (2000)